魏志倭人伝を正しく読むためには

魏志倭人伝の読み方

前記事で従来の読み方を否定したつもりだが、何が悪いのかをもう少し書く。

魏志倭人伝を充分読み尽くしたと考えている研究者は、「陳寿は、この程度の情報しか持たず、訳の分からない文章を書く人間だ。」と思っていることになる。
そして、これ以上の情報は外部資料に求めるしかないとして、他の文献や考古学の資料を参考にしようとする。
つまり、魏志倭人伝はこれ以上深く読むことは出来ない、これ以上の情報は出てこないと思っている。

陳寿を軽く見てはいけない。
陳寿は本気で情報を正しく伝えようとした。
絶対に改ざんさせない為にはどうすれば良いか。
陳寿は真剣に考えた。
その結果、工夫を凝らして魏志倭人伝を書いたのである。
つまり魏志倭人伝には、仕掛けが施されている。

だから笵曄も、中国の研究者も、日本の研究者も、誰も正しく読めないのだ。

では、正しく読むためにはどうすれば良いか。

簡単である。
読む条件を変えれば良いのだ。
今まで正しく読めていないのだから、従来の読む条件の対極の条件で読めば良い。

従来の読む条件は次の通りである。

1.魏志倭人伝は、訳の分からない文章を書く陳寿が、ただ情報を並べているだけと認識する。
2.魏志倭人伝の倭国の国名や官名は倭人の発音の当て字なので、漢字の音にこだわって読む。
3.著者の陳寿は信用ならないので、笵曄や他のあらゆる資料を信用して読まなければならない。

従って、魏志倭人伝を正しく読むための条件は、次の3つである。

1.魏志倭人伝は、意図的に高難度の技法を用いて、簡単には読めないように書いてあると認識する。
2.魏志倭人伝は漢字の意味で読むように組み立てられているので、漢字の音にこだわってはならない。
3.著者の陳寿を、誰よりも他のどんな資料よりも、全面的に信頼して読まなければならない。

この読む条件を頭に叩き込んで、次回から魏志倭人伝を読む。

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