官と同様に、違和感を放つ大きなグループが存在する。
「旁国21カ国」と呼ばれたりする、単に国名だけが羅列されている部分である。
22行目の11文字目から28行目の3文字目にかけて、107文字使って表記されている。
1234567890123456789
22其餘旁國遠絶不可得詳次有斯馬國次有巳百
23支國次有伊邪國次有都支國次有彌奴國次有
24好古都國次有不呼國次有姐奴國次有對蘇國
25次有蘇奴國次有呼邑國次有華奴蘇奴國次有
26鬼國次有爲吾國次有鬼奴國次有邪馬國次有
27躬臣國次有巴利國次有支惟國次有烏奴國次
28有奴國此女王境界所盡其南有狗奴國男子爲
書き出してみよう。
斯馬國 巳百支國 伊邪國
都支國 彌奴國 好古都國
不呼國 姐奴國 對蘇國
蘇奴國 呼邑國 華奴蘇奴國
鬼國 爲吾國 鬼奴國
邪馬國 躬臣國 巴利國
支惟國 烏奴國 奴國
以前、この国名の読みを九州の地形と照らし合わせて福岡から宮崎まで途切れなく並べた解釈をネットで見たことがあり、感動してしばらく信じていたことがあった。
○○國と書いてあると、やはりそれは現在の何処なのかが気になるものだが、この21国は国名が書いてあるだけで、ヒントになりそうな記述であるところの「自女王國以北」にしても「其餘旁國遠絶不可得詳」にしても「此女王境界所」にしても、明確な意味が伝わってこない。
つまり、比定作業をしたとしても、根拠の無い推論にしかなり得ないのである。
しかし、この21国の正体は、陳寿の仕掛けを解いたときに最初に判明する。
これも国名ではないのである。
※ 意味不明の固有名詞をそのまま放置してはいけない。
本当に意味の無い言葉は、魏志倭人伝には存在しないと考えるべきだ。
簡潔な表現を信条とする陳寿が書く言葉には、必ず理解できる意味がある。